内出血で何が起こるのか?
内出血で何が起こるのか?

腹、頭、腕、足、膝、あるいは肘などに打撃を与えると、誰でも内出血し始める可能性があります。
血友病ではない人は血が止まり、自力で治癒されます。
血友病患者は内出血が続き、数時間、時には数日間出血がゆっくりと続きます。
出血し始めたときは、兆候はすぐには現れません。しかし、すぐにでも製剤を注射した方がいいのです。
何故でしょう?

右図を見てください。関節は2つの骨がつながっている場所です。
関節内部の空間は関節腔(かんせつくう)と呼ばれます。
この空間は関節が自由に動くための空間です。
関節を形成する骨の先端部は軟骨と呼ばれるなめらかな物質によって保護されており、キャップのように各々の骨の先端をカバーしています。

今、血友病患者が膝を怪我してしまったところを想像してください。
血液が関節腔に漏れだします。
関節が腫れだし、痛みがおそってきます。
そして関節が硬直してしまいます。
足を曲げることが出来なくなり、歩くことも難しくなり、痛みを伴うようになります。
なお悪いことに、血液は酵素という物質を持っており、これが他の物質を破壊します。

血液がなおも関節腔にたまると、酵素は本来関節に存在するはずのない血液をそこから追い出し、体内に再吸収させるために血液を分解し始めます。
これはよい兆候です。しかし酵素が働くと、骨の先端をカバーしている軟骨までも破壊し始めます。
関節内での出血が長期間続いたり何度も起こると、軟骨がザラザラになったり、でこぼこになったりして、関節を動かすたびに痛みを伴うようになってきます。

筋肉もまたよく内出血する場所です。
筋肉はスポンジのようであり、たくさんの血を含んでいます。
筋肉出血は腫れを伴い、可動範囲も制限されます。
幸運にも関節出血、筋肉出血には「痛み」「違和感」「熱」を伴うなど、多くの兆候があります。
筋肉に大きなダメージを与える前に、製剤で出血を止めましょう。

製剤は関節内の血を分解し、関節の外へ追い出してくれると思っている人がいます。しかしこれは間違いです。凝血因子はフィブリン・ネットの形成を助けるだけです。

CG作成:阿部晋樹

前のページ   次のページ