なぜ出血し続けるのか?
血友病患者には、フィブリン・ネットが作られません。
フィブリン・ネットが無いと、血小板のフタがはがれ落ちてしまい、出血が続いてしまいます。
何故このようなことが起きるのでしょう?
血友病患者は、14個の凝血因子が正常に働かないからです。
血管が破れると通常、血管が縮まり血小板がフタを形成します。
凝血因子はお互いに命令を出し合います。例えば、第三因子は第七因子に命令を与えます。
リレーを例に取ると、血友病患者の場合は、どこか途中で凝血因子がバトンを落としてしまうようなものです。もちろんバトンには血液を固まらせる方法が書かれています。
次の凝血因子にバントを渡せないため、凝血因子達は仕事を続けることが出来なくなります。
つまりレースが半ばにして終わってしまうのです。
結果的にフィブリン・ネットの形成が途中で止まり、出血が続きます。
血友病Aの場合、第八因子の活性率が非常に低くなっています。
今、1000人の因子達がレースを開始しました。1000個のバトンが次々と因子達に渡され、第九因子に渡りました。さて次は第八因子です。しかし・・・・1000人いるはずの第八因子達がどこを探しても見つかりません。やっと見つかりましたが、10人にも満たない人数です。
こうして残りの 990 ものバトンは相手を捜しているうちに落としてしまい、1000人中10人以下の仕事しか行えない第八因子により、出血が長引いてしまうのです。
誤解:出血した場合、血友病患者は血を噴き出し、早く死ぬ
これは、よくある血友病に対する誤解です。血友病患者は出血しても血を噴き出すことはありません。もちろん、怪我をしたからといって、突然死に至る出血をすることもありません。普通の健常者と全く同じ割合で出血します。血友病患者の多くは怪我の度合いによってはすぐに血が止まる場合もあります。紙で切った場合、擦り傷、皮膚の下での出血(アザ)などは比較的止まりやすい部類の出血です。
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CG作成:阿部晋樹
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