Avigen社による遺伝子治療の試み
Avigen社による遺伝子治療の試み

1997.5.8 ALAMEDA(米国カリフォルニア)

アデノウィルスと呼ばれる非発病性の人間のウィルスから抽出した遺伝子治療ベクタは、筋肉や肝臓や神経、そしてその他の組織内で、病気を治療する可能性のある遺伝子の効果的な運搬と発現に、広範囲に役に立つ。
Avigen社は、血友病や地中海貧血、パーキンソン病を治療するアデノウィルスベクタによる遺伝子運搬の可能性を証明した(ここでは血友病に関する部分のみ取り上げます)。

世界的に2番目に多いとされる遺伝性出血障害である血友病Bは第IX因子の不足や異常によって引き起こされる。
出血に対する治療や予防のために、患者は人間の血漿やDNA工学を用いた組み替えによって作られた第IX因子を受け入れる。
第IX因子は静脈内への注射によって補充されるため、出血が起こった時か、或いは出血が予想されるケース(例えば外傷や外科手術)に限って注射が行われる。

Avigen社の研究者がアデノウイルスベクタに組み込んだヒト第IX因子遺伝子をマウスへ投与したところ、一回の投与で、少なくとも6ヶ月間に渡り第IX因子の分泌効果が持続したことを証明した。
アデノウイルスベクタを肝臓へ一回投与したところ、同様に、血液内で第IX因子の分泌がもたらされた。
「この結果は血友病B患者への治療に対し、アデノウイルスベクタを用いた遺伝子治療の可能性を証明した。」と研究開発の副責任者 Gary J. Kurtzman Avigenは言う。

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