新しい治療法
新しい治療法

予防

出血障害治療の大きな進歩として、出血が起こる前に、それを防ぐために凝固因子を血液中に、前もって補充しておく方法がある。

凝固因子の予防的使用は、出血障害患者に多くの利益をもたらす。
このような凝固因子の使用法は、関節障害のリスク低減と防止、入院期間の短縮の他、学校や職場を休む期間を減らしたり、独立心を高めたりと、より良い生活を得る手助けとなるだろう。

あなたや、あなたの子供への治療法がベストのものかどうかを判断し、より一層予防に関する知識を増やすためにも、医療従事者と相談することを奨める。

遺伝子組み替え製剤

遺伝子組み替え因子はDNA組み替え技術と呼ばれる高度な製法によって生み出される製品である。

「組み替え」は、研究所などにおいて、幾つかの異なるタイプの有機的組織のDNAを切ったり、つなげたりすることにより「再結合」される。 このような遺伝子工学として知られる方法での凝固因子の製造では、原材料として人間や動物の血液を必要としない。 これにより、血液感染や汚染物質からの危険が避けられる。

現在、組み替え型凝固因子は、今日利用可能な最も安全な製品であると考えられている。 組み替え型第8因子は、1993年に合衆国食糧医薬品局 (FDA) によって初めて認可された。 1997年前半に、FDAは組み替え型第9因子も認可した。

上記の1990年代に登場した遺伝子組み換えによる因子は、製造工程の途中で動物のアルブミンが利用されており、依然として未知のウィルスに感染する可能性が存在していた。
しかし、2007年に動物由来の血漿を一切しない凝固因子も登場し、より一層安全性が高まっている。

また、遺伝子組み換えにより、凝固因子の寿命(半減期)を延ばす試みも盛んに行われいる。 現在研究中であるものの、一回の輸注で効果が一週間持続する凝固因子も登場しており、次世代の治療法と呼ばれる遺伝子治療が確立されるまでは、因子の効果延長に関する研究が続けられるものと見られる。

遺伝子治療

遺伝子治療とは、従来の凝固因子を輸注する対処療法とは異なり、体内の一部の遺伝子を作り変えるなどして、自ら凝固因子を生成できるように根本治療を目指した治療法である。

基本的には、凝固因子を生成する遺伝子を作り出し、これを無害化したウィルスに載せて体内に取り込ませる。 通常のウィルスが体内の細胞を破壊し、自分のコピーを作り出して増殖していくのと同じで、結果的に凝固因子を生成する細胞が体内で増えることになる。

米国では1990年代後半から血友病の遺伝子治療に関する研究が行われているが、未だに大きな進歩は得られておらず、些か停滞気味である。 と云うのも、血友病に限らず遺伝子治療全般で今のところ、大きな効果が挙がっておらず、さらに安全性を無視した無理な臨床試験を行い死者を出したり、予想外の活性化誘発でガンを発生させる等問題が発生し、一部の研究にブレーキが掛かったのも一因である。

現在の研究では、マウスやイヌなどの動物には効果が見えてはいるものの、より複雑な免疫系を有する人間では、その安全性に十分注意を払う必要があり、研究はまだ緒についたばかりである。