血友病治療の歴史
血友病治療の歴史

血友病患者は内出血を起こすと、血液製剤の輸注による治療が必要とされる場合がある。血液製剤は、凝血するために必要な凝固因子の代わりとなる。
注射によって出血は止まるが、注射された凝固因子は短期間のみ有効であり、規模の大きい出血の場合は、止血するまで繰り返し注射する必要がある。

重度の血友病患者は、出血事故を防ぐために、定期的に凝固因子を使用する場合がある。 この因子の使用法は予防として知られており、「治療のための新しい取り組み」のページで述べる。

1965年まで、血友病に対する利用可能な治療法は、休養と氷の利用以外は病院でのみ入手可能な完全な血液か、フリーズした血漿輸血の利用しかなかった。
出血を抑えるのに十分な凝固因子を体内に供給するためには、大量の血液を必要とするが、人間の体は大量の液体を体内に保持することが出来ないため、輸血は部分的にしか効果がなかった。
この不十分といえる治療の結果として、重度の血友病患者は関節障害により、しばしば若いうちから車椅子や松葉杖の使用を必要とした。

1965年、Dr. Judith Graham Pool により、血液の構成要素を豊富に含んだクリオ(cryoprecipitate) が開発された。 この医学的ブレイクスルーにより、血友病患者へ、多量の血漿を輸血する必要がなくなった。 クリオは濃縮された第8因子を含む血液の一部分である。 患者への注射の量が少なくなることから、クリオは容易で効果的、効率的な治療として注目された。

1970年代初期までに、第8,第9因子が濃縮されたフリーズドライの粉末形態で広く利用可能となった。 これは家、職場、学校での患者の自己注射を可能にした。
また、この濃縮因子により、多くの柔軟性ある治療法が開発され、未然に出血を防ぐ、予防治療を行うことも可能となった。

さらに1970年代後期から現在に至るまで、血友病の治療において多くの進歩がなされている。