血友病の治療(皮下出血、筋肉内出血)
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2.筋肉内出血
血友病の筋肉内出血は下腿三頭筋(腓腹筋、ヒラメ筋)、大腿筋、臀筋、腸腰筋、前腕や上腕の屈筋などに多い。 治療については、初回投与は20~40%を目標とする。その後、20~40%を維持レベルとして1日1~2回、3~7日間連続投与する(表)。出血初期は安静にして出血部位を冷やして血管を収縮させて出血量を少なくする方がよい。補充療法により止血し、回復してくると暖めながらリハビリを行う。
表 筋肉内出血時の凝固因子投与量
写真12 下肢の筋肉内出血(矢印:疾患部) 写真12は下腿三頭筋に血腫を生じた症例のCT像である。
筋肉内出血を生じた後も製剤を投与しながら仕事を続けていたところ、次第に悪化し歩行不能となって来院した。
腸腰筋出血
腸腰筋は骨盤と脊柱の下部から起こって大腿骨につき、大腿の運動(内転を除く)を行う。
腸腰筋出血は腸腰筋内から筋膜間隙に及ぶため、強い痛みと下肢を伸展できない特徴的な姿勢をとる。 通常の腸腰筋出血(写真13)は1~2週間で軽快するが、写真14に示す症例は外傷により腰椎横突起の骨折と著名な腸腰筋出血を伴っており、長期入院を要した。
治療については、初回投与は凝固因子レベルが60%になるようにする。
血友病性嚢腫
写真15 胸鎖乳突起の嚢腫(矢印:疾患部)
筋肉内の出血が吸収されずに血腫として残存し、そこに出血が反復すると血腫が巨大化して腫瘤状になることがある。
症例は41歳の血友病患者で頸部の筋肉に出血したが自覚症状が強くなく放置していた。 |
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