血友病の治療(皮下出血、筋肉内出血)
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1.皮下出血
皮下出血は多くの場合、転んだり打撲によって皮膚の下に生じる表在性の出血で、時間が経てば自然に吸収されるために原則として治療を必要としない。
下腿、前額部、上腕などのあざは通常は治療を必要としないが(写真1,2)、皮下に大きなしこり(皮下血腫)を形成するなど程度がひどい場合は補充療法により早期に吸収させる。
写真3は眼球周囲の出血と結膜出血を合併した幼児で補充療法を施行した。
インヒビター症例の皮下出血について
写真6 High Responderインヒビター症例の皮下出血
インヒビターを有する血友病患者の場合、皮下出血も重度となる場合が多く厳重な注意を要する。
写真6は血友病Bハイ・レスポンダ・インヒビターの患者で、転倒して指骨を骨折し爪がはがれて出血したが、活性型第VII因子製剤の投与により重症化せずに改善した。
血友病患者の注射や採血の場合の注意
血友病患者に対し、通常予防接種やインターフェロンなどの注射は細い針(27G針)で皮下に注射すれば出血することはほとんどない。
乳幼児の皮下出血について
1歳前後の乳幼児で歩行がまだ上手にできない時期に臀部を強く打って臀部から陰嚢部にかけて皮下出血を生じることが多い(写真7)。
皮膚科処置の補充療法
写真9 液体窒素処置による皮下出血
尋常性疣贅などを液体窒素で処置する場合に時々皮下出血を生じる場合がある(写真9)。出血が心配される場合は処置前に予防投与する必要がある。
手術後の抜糸時の補充療法
写真10 液体窒素処置による皮下出血
抜糸時には出血を伴うことがあるので補充療法を必要とする(写真10)。
帽状腱膜下出血
写真11 (1)帽状腱膜下出血(矢印:疾患部) (2)乳児期の頭蓋内出血による低吸収域 帽状腱膜と頭蓋骨骨膜との間の出血で、強い外傷によって新生児以外にも生じることがある(写真11)。 有毛部全体、前額、上眼瞼におよぶ広範な腫脹を特徴とし、皮下出血とは異なり重症化する場合がある。
我々の経験した3例はいずれも10歳前後で、けんかで髪の毛を強く引っ張られたり、バットが頭に当たったりして帽状腱膜下出血を生じた。 |
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