社会福祉制度
社会福祉制度

身体的障害を持たない自分の子供に対して、血友病患者=障害児であるという認識はなかなか持てないものです。 しかし、社会福祉制度上、血友病の子供は「障害を有する児童」と認定されるのも事実です。 以下に血友病の子を持つ親に対する所得補償の制度、医療費助成の制度を紹介します。

なお児童に限らず、成人も含めた血友病と社会福祉制度については、佐野さんのホームページ血液凝固異常についての私的ページにおいて詳しく紹介されています。

特別児童扶養手当 (国の制度)

心身に重度または中度程度の障害(身体障害者手帳3級・一部4級程度以上、愛の手帳3度程度以上、そのほかの内部障害、精神障害、疾病など)のある20歳未満の児童を養育している場合(ただし、児童が施設に入所している場合を除く)、その扶養者に対して支給される手当。

この制度は特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和39年法律第134号)として、国が上記条件に該当する養育者に対し手当を支給するというものです。 (なお、平成10年に一部法律施行令が改正されたようで、差分は児童扶養手当法施行令等の一部を改正する政令をどうぞ)

支給額は

特児等級1度(重度)51,550円
特児等級2度(中度)34,330円

となっており、一定の所得制限がありますが、血友病は中度と認定されるようです。
但し、血友病だからということで必ず認定されるとは限りません。
この件に関しましては私宛へメールをお願いします。もう少し詳しくご説明できると思います。

支給は4月、8月、12月の3期で郵便局口座(銀行は不可)に振り込まれます。
必要書類の入手や所得制限の情報など、詳しくは市役所の児童福祉課へお問い合わせください。

申請から認定までには通常3ヶ月ほどを要するようですが、支給は申請の翌月に遡ってなされます。

障害児福祉手当 (国の制度)

日常生活において常時の介護を必要とする状態にある(身体障害児の場合は1級と2級の一部、知的障害児の場合は知能指数20以下程度)20歳未満の児童(ただし、施設に入所している場合、障害年金等定められた年金を受給している場合を除く)に対して支給される手当。 >/p>

この制度は特別児童扶養手当等の支給に関する法律(昭和39年法律第134号)として、都道府県が上記条件に該当する児童に対し手当を支給するというものです。 (なお、平成10年に一部法律施行令が改正されたようで、差分は児童扶養手当法施行令等の一部を改正する政令をどうぞ)

特別児童扶養手当は養育者に支給されるのに対し、障害児福祉手当は障害を持つ児童に対して支給されます。
但し、児童福祉手当同様、血友病だからということで必ず認定されるとは限りません。

支給額は 14,520 円で、手当の支払いは、2月、5月、8月、11月の年4回、各3か月分ずつ支給されます。
必要書類の入手や所得制限の情報など、詳しくは市役所の障害福祉課へお問い合わせください。

その他 (児童育成手当など各自治体の条例)

都道府県や市町村の条例で児童育成手当などの名称で(名称は自治体によって違います)いくつかの所得補償の制度が条例化されています。
健常児と障害児では所得制限額などに違いがあり、手当額は少ないですが認定されやすいと思います。

私の住んでいる国立市では、小児慢性疾患の医療券を提示することにより上下水道の基本料金が免除されます。各自治体で助成の制度は微妙に異なるので、市役所で確認をしてみてください。

小児慢性疾患による医療費の助成 (国及び都道府県)

国と都道府県では、血友病、小児がん、慢性腎炎等特定の病気の児童については、治療期間が長期にわたり、医療費の負担が高額になるため委託医療機関での医療費について、患者家族の負担を軽減するため、自己負担分について助成しています。特に血友病等血液疾患については20歳未満まで医療費の助成を受けることができます。

申請手続きなど詳しいことは保健所にお問い合わせください。

小児慢性疾患の医療費助成については、血友病の治療費が高額であることから病院の先生などから教えてもらった方が多いのではないでしょうか?
多分、みなさんは既に申請済みで小児慢性疾患医療券をお持ちのことと思いますので、この助成に対する詳細は略させていただきます。

特定疾病療養受領証 (健康保険組合)

医療保険には「高額療養費支給制度」と云い、病院の治療費が一定額を超えた場合、その超えた額を給付する制度があります。国の指定した長期高額疾病については1ヵ月の自己負担限度額が10,000円に軽減されます、血友病A,Bの患者さんとフォン・ヴィレブランド病の患者さんはこの長期高額疾病に該当します。手続きをすると「健康保険(国民健康保険)特定疾病療養受療証」が交付されます。

手続きは、特定疾病療養受領証交付申請書を、加入している保険者よりもらいます。 (健康保険加入者→勤務先の会社又は、社会保険事務所/国民健康保険→市町村の保険課)
病院窓口に提出し証明を受け、各保険者(用紙をもらってきた所)に提出します。
これで特定疾病療養受領証が交付されます。

小児慢性疾患と特定疾病療養受領証

小児慢性疾患と特定疾病療養受領証との違い、仕組みについて、以下に説明します。

小児慢性疾患は「研究事業」で、特定疾病療養は「保険」です。
一般に「保険」と「研究事業」とでは保険が優先です。

小児慢性、特定疾病は負担額と負担する組織が異なり、まとめると以下のようになります。

保険組合患者
小児慢性疾患のみ医療費の7割 医療費の3割0円
小児慢性疾患+特定疾病医療費-1万円 1万円0円
特定疾病のみ医療費-1万円 0円1万円
なし医療費の7割 0円医療費の3割

その他資料

ヘモフィリア・フォーラム2011での、伊賀さん(兵庫医科大学のソーシャルワーカー)の医療費助成制度についてのプレゼンが非常に分かりやすいので、是非ともビデオでご覧ください。