2011全国ヘモフィリアフォーラム 報告
2011 全国ヘモフィリアフォーラム

2011年4月16日(土)~17日(日)に、去年に引き続き大阪で「全国ヘモフィリアフォーラム」が開催されました。 CHPnet Webmasterの私(阿部)も、今年は実行委員として参加し、当日は総合司会を仰せつかりました。
以下に簡単な私の所感と、詳細な報告書を公開します。
特に幾つかのプレゼン資料、ビデオは非常に有益ですので、是非ともご覧ください。

日時、場所
日時:2011年4月16日(土) 13:30~17:00 / 17日(日) 9:30~17:00
会場:千里ライフサイエンスセンター
ヘモフィリアフォーラム詳細

詳細は開催報告書(5.3Mバイト) をご覧ください。

1日目については、プライバシー保護に十分配慮して当日の模様を撮影したビデオを公開しています。 ビデオで聞き取りづらい部分は、報告書に講演、議論内容の全文が記載されていますので、そちらを参照してください。


オープニング~開会挨拶

4/16(土) 13時30分よりフォーラムが開会し、フォーラム実行委員長の佐野さん、厚生労働省の平賀さん、そして東京医科大の福武先生の挨拶がありました。
今年は実行委員として2010年秋よりフォーラムの開催準備をしていたわけですが、3月の東日本大震災により、一時期、実行委員会ではフォーラムの延期または中止も考慮されていました。その困難の中で無事開催に漕ぎつけ、また多くの人に参加頂けたことは大変喜ばしいことでした。


開会挨拶 : 10分19秒

基調講演 「血友病の最新治療環境・治療薬情報」

WFH副会長 アリソン・ストリートによる基調講演が行われました。自身が医師でもあるストリート先生は、患者の高齢化、HIVやC型肝炎の感染症、インヒビターの課題、定期補充療法の取り組み、世界的な医療格差、新たな製剤……など、幅広い分野での最新知見を紹介してくださいました。38分と若干長めですが、世界動向を知る上でも是非ともビデオをご覧ください。


基調講演 Part 1 : 38分6秒

基調講演 「血友病をめぐる医療制度の現状と課題」

ソーシャルワーカー 伊賀陽子氏による医療費に関する基調講演です。血友病の場合、医療費を自己負担することがないので、費用をあまり気にする機会も少ないと思います。しかし、これらの制度がどのようにして制定されたのか、その変遷や現状を知っておく必要はあるでしょう。
先人達がどのように現在の権利を勝ち取ってきたのか、必見です。


基調講演 Part 2 : 30分55秒

パネルディスカッション 「これからの血友病医療」

午後より、WFH副会長アリソン先生、北九州八幡東病院の白幡先生、兵庫医科大学病院の伊賀先生、厚労省健康局疾病対策課の平賀氏、ヘモフィリア全国ネットワークの佐野氏を交え、フォーラム実行委員会の大西氏の司会のもとでパネルディスカッションが行われました。冒頭で、震災により参加できなかった東北の方からのメールによる現状報告や、大災害での対処の仕方、経験などが読み上げられました。 ディスカッションは自然と災害時のリスク・マネージメントが焦点になり、患者、家族として大災害に備えて何を準備すべきか、また、患者会といった組織の重要性について改めて考えさせられました。


パネルディスカッション : 1時間24分56秒


2日目は4/17(日)の9:30より始まり、血友病に関する6個の分科会について、各会議室で議論が行われました。


分科会報告

午後より、6個の分科会での議論について、各ファシリテーターが報告を行いました。各分科会の議題については開催案内のページ、または開催報告書に譲りますが、各分科会とも活発な議論が行われました。
阿部(Webmaster)は去年に引き続き「父親としての関わり方」のコーディネータとして準備をしてきましたが、母親が前面に出がちな血友病の親子関係において、父親の役割の重要性について議論が行われ、非常に有意義でした。
各分科会の詳細については、開催報告書をご覧ください。

総括シンポジウム

14:30より2時間の総括シンポジウム。パネラーは奈良県立医科大学の田中先生、洛西ニュータウン病院の上田先生、国立成育医療センターの中館先生、兵庫医科大学病院の牛尾さん、大分ヘモフィリア友の会の仲島さん、埼玉ヘモフィリア友の会の中尾さんに、司会は実行委員長の佐野さん。

冒頭から、血友病診療のセンター化構想について活発な議論がなされ、また、会場からの質疑応答においても特にそこに質問が集中し、その長所/短所が浮き彫りになりました。現状は血友病の基幹病院と言われるところでさえ、中心となる医者の異動、退職で血友病診療の継続性が失われるかもしれないという問題が医療者側から示され、こういった点一つとっても、センター化は早急に進めていくべきかのかもしれません。しかしその一方で、血友病という「儲からない病気」を診る病院、専門医が減りつつあり、センター化がこれに拍車を掛けかねないという危惧も同じく医療者から表明されました。こういった議論を見るに、センター化に関しコンセンサスが得られるにはまだ時間がかかるかもしれないと思いました。

もう一つ大きな話題としては、患者会への加入率の低下があります。最近の若い親御さんはネットで見れば済むということで、患者会に入りたがらない人が多いと、患者会の代表者より問題提起がありました。私もインターネットの情報サイトを運営する立場として、ここは大きな問題だと思っています。ネットでの情報はあくまでも副次的なものであり、実際の人との繋がりに勝るものはありません。あくまでもネットは補足的なものとして利用すべきだと思っています。
また患者会加入率の低下は、血友病という病気に対する社会的プレゼンスを下げることに繋がる恐れがあり、結果的に自分または子供を社会的に不利益な状態に導く可能性がある事を知っておくべきだと思います。


フォーラムを終えて

東北大震災により、その開催自体が危ぶまれましたが、結果的に2日間で参加者がのべ450名以上と、前回以上の盛り上がりを見せました。今回実行委員として参加させて頂きましたが、微力ながらもフォーラムの開催にお手伝い出来ましたことを嬉しく思います。また、沢山のボランティアの皆さんの協力なしには実現できませんでした。本当にありがとうございました。

なお、次回は2年後の予定だそうです(場所未定)。