タイトル: Re:皮下注射の効果
投稿者 : 西村聡文
URL : 未登録
登録時間:2021年8月11日21時33分
本文:
「皮下注射の製剤」とは、中外製薬のヘムライブラ(一般名:エミシズマブ)の
ことですよね、以下その前提で。
私自身は使ってないのですが、、、
世界的にはメチャメチャ売れているようで、「ブロックバスター(1 billion
dollar=1000億円以上の売り上げ)」とか「ゲーム・チェンジャー」と評価さ
れ、中外製薬株価絶好調の要因と、血友病のこと何も知らなさそうな株価アナ
リストが取り上げるほどです。
多くの国で、血友病A治療薬のシェア、ナンバーワン(以前はアドベイト/アデ
ィノベイト)、第一選択薬となっている模様です。
さて、その効果ですが、当初は8因子換算で20から30%相当とされていました
が、最近は若干トーンダウンし15%相当とのことです。
もっとも、「8因子換算」という効力を定量的に測定する技術がありませんの
で、なんとなくそれぐらい、という感覚なようです。
「8因子換算15%相当」が他の製剤と比較してどうかということになります。
8因子製剤は1単位/kgを投与すれば2%上がります、50kgの人が1000単位打てば
40%、2000単位打てば80%上がります。
その40とか80とかと比べれば15って低いと思われる人がいたら、それは間違い
です。
ヘムライブラはずーと15%相当くらい効いているので、40とか80は、打った直
後の「ピーク」の値ですので、次に打つ前の値「トラフ」と比較するのが公平
と言えます。
既存の8因子製剤すべては承認申請時の治験が1%の「トラフ」で検証されてい
ます。
ですので、週2回とか3回の標準的な投与では、数%のトラフ値しか達成できな
いので、既存の8因子製剤より効く、という評判もなっとくです。
最初に書きましたが、私自身ヘムライブラを使ってはいません。
数%のトラフ値よりも効くと感じるか、数%しか達成できないと考えるか、、
私は、試行錯誤の上、80%くらいの「トラフ」でないと出血ゼロを得られなか
ったため、既存の8因子製剤を使っています。
ヘムライブラは15%相当くらいの効果で固定されますが、既存の8因子製剤は使
い方により、「トラフ」値を設定できます。
それぞれの活動量や適性を見極め、ご自身にあった薬を選択できる、今は良い
時代になりました。
長々と書いてしまいましたが、要約すれば、ヘムライブラは良い薬だと思いま
す。
製剤選択の参考になれば幸いです。
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