CHPnet お気楽会議室
血友病に関して

[記事表示に戻る] [ツリートップの表示に戻る]

-気になる記事です。-やんまま(3/22-23:08)No.1792
 ┗結局はお流れになりそうです-高田 昇(3/25-19:55)No.1795
  ┗Re:結局はお流れになりそうです-よーすけママ(3/28-21:24)No.1798


トップに戻る
1792気になる記事です。やんまま 2004/3/22 23:08

気になる記事が出ました。
血友病の生存に関わる問題ですので掲載させてください。
(高田先生ごめんなさい)


血友病の入院治療が包括化になるんだそうです。・・・・そんな馬鹿な、と
思いました。
血友病には血友病Aと血友病Bがあり、赤ちゃんと100Kgの大人では1日に
使う量が違います。インヒビターの有無で医療費が大違いです。

特に、インヒビターといって欠損した凝固因子に対する同種抗体(自分以外の
ものだと中和してしまう抗体)ができてしまうと、治療は難渋します。
最近はバイパス製剤を使って何とか止血をしますが、日常の制限もやむを
得ません。
その上、製剤が高額で月当たり外来でも200万円、時には400万円分ぐらい
かかることがあり、主治医は目がクラクラしながら処方しています。
それでもここ10年で、患者さんの負担を増やさずに、あたりまえの生活が
送れるようになってきました。

DPCというのは入院治療の医療費を、病名によって1日を定額にするというや
りかたです。大学病院や国立病院に適応されています。入院期間が短い方
が値段も高く、長引くと低額になります。
早く退院できるように、またできるだけ医療資源(要するに注射薬)を使わ
ないようにすれば病院の利益になるし、長くかかったり治療薬を沢山使う
と病院の損になります。

今回の表では、入院7日目までは1日13万円、19日目までは10万円、46日目
までは88000円です。第[因子1000単位は1本が約75000円。
大人の手術なら1日5000単位は使います。2週間程度の第VIII因子を連日
使う手術では、だいたい300万円はかかるでしょう。さらにインヒビターが
ある患者の止血処置や手術では5倍から10倍かかります。

毎年、医療費の超高額の疾患のトップテンに何人かの血友病インヒビター患
者(月額数千万という例も)が載り、辛く感じています。今後入院でDPC化し
てしまうと、特にインヒビターの患者さんは大学病院やDPC適応の
国立病院(機構)では診ることができなくなります。

ついこの前まで、でもかなり長いあいだ、エイズをくっつけた血友病の主治
医たちは、歯を食いしばり、病院の中で身を小さくしていました。今後は
大赤字つきの病気を好んで診る主治医たち、また小さくならないといけな
いのでしょうか。

高田 昇


トップに戻る
1795結局はお流れになりそうです高田 昇 E-mail URL2004/3/25 19:55
記事番号1792へのコメント
 あらら、こんなところに私の文書が出ている(本当はエチケット違反です
よ)。

 DPCというのは「病名が決まれば入院の医療費は同じ=まるめ」というやり
方です。ある意味では検査漬け、薬漬けを減らそうというもので、同じ状態
でもより少ない経費で、より短い治療期間で、同じような成果をあげられれ
ば患者さんにとっても良いし、国民医療費の面でも良いことです。手抜き医
療をどう防ぐかもありますが、一番難しいのは値段の設定のしかたをどうす
るかがあります。DPCという制度は全国の大学病院そしてナショナルセンター
と呼ばれるような、大きな国立病院から始めました。

 どの病気をDPCの対象にするか、というのが、ルールがあって、かつては対
象外だったのがルールに当てはめて対象に入ってしまったのです。ところ
が、乱暴なあてはめかたで、血友病Aも血友病Bも区別せず、赤ちゃんも大
人も区別せず、インヒビターの有り無しも区別せずということだったので
す。これは素人目にも乱暴です。

 関係者の努力により、今回は血友病のDPC化は見送りになると今日、聞きま
した。

  前にも書いたことがありますが、医療制度や福祉制度というものは、黙
って空に向かって口を開けていれば、美味しいものが落ちてくる、、、とい
うものではありません。

 すべて、先輩の患者さんや親御さんが運動して要求して、そして学会や医
療者もサポートして、政治家を動かして制度として勝ち取ってきたもので
す。まちがっても、役所に頼めば何とかしてくれるものではありません。

 血友病の患者会のあり方を医師の私がとやかく言ってはなりません。しか
し「一人じゃない、みんなが居る」というのが理想だなと、昔から思ってい
ます。まず血友病についてのお勉強を、ドクターからではなく、仲間からで
きるということ。そしてお互いに知り合って仲良くなって支えること。そし
て、連帯して力をもつこと、です。これは政治です。政治は馬鹿にしてはい
けません。社会を形成する上で、関係を調整する力が政治で、その結果が制
度だからです。

 あらためて、自分たちが受けている制度はどうなっているのか、今後、ど
うしていったらいいのか次の時代の人たちのために関心を持って頂きたいと
思います。

 今回の事態でも、かげで多くの人が動き回って下さったようです。感謝し
ます。

高田 昇

トップに戻る
1798Re:結局はお流れになりそうですよーすけママ 2004/3/28 21:24
記事番号1795へのコメント
高田先生,直接ご説明いただいてとりあえずほっとしました.
うちはインヒビター有の子がいるのですが
普段,病院側の事情など知る由もなかったのですが
やはりもしこの制度が適用されると,心苦しくもあり
治療の質の面で心配でもあったので気を揉んでいました.

それにしても,このような話,知らないうちに決まってしまう
こともあるのですね.
もし,知らないまま決まってしまうことがあれば
何も動くこともできませんものね.
どうしてそのような制度があるのかも・・・・

転勤を控えているので患者会には加入していなかったのですが
転勤先では患者会に加入し,今まで以上に
こういった動きにアンテナを張っていきたいと思いました.
このたびはどうもありがとうございました.

また,同じく,今回のことでご尽力いただいた方々
どうもありがとうございました.