-朝日新聞掲載記事-西村聡文(2020/11/25 16:15)No.2329
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2329 | 朝日新聞掲載記事 | 西村聡文 | 2020/11/25 16:15 |
本日(2020/11/25)朝日新聞26面「医療事故の教訓生かせているか」に血友病の 事例が紹介されていました。
記事中に「医療過誤原告の会」ホームページ http://www.genkoku.net/
に報告書が掲載されているとのこと読んでみました。 http://genkoku.net/pdf/center_docu_C.pdf
要点を列挙すると、 ・50歳台男性、他院で8因子が少ないと言われていた(治療は行っていない)。 ・肩から指へ痛みやしびれがあり、いろいろ治療を受けたが改善せず、首の手 術を勧められた。 ・2015年12月24日手術、翌日死亡 ・死因は、解剖がなされていないため断定できないが、術後の出血での気道圧 迫、つまり窒息死と推察される。 ・手術前の検査(10/9)ではAPTT39.3秒と当該医療機関の参考値(25.1から39.8 秒)の範囲内であったことから術前に8因子検査せず、凝固因子製剤も投与ど ころか準備もせず。 ・手術直後は順調であったが、翌朝急変、意識喪失後の採血(12/25)結果では8 因子13%
西村聡文の感想 この患者は普段治療するほどではない「軽症」血友病だったようです。 軽症患者は凝固因子の変動があり、術後の測定で13%ですが、術前のAPTTが 39.3秒ですから普段はもう少しあったのかもしれません。 もっとも、変動があるから、仕方がないでは済まされず、他院での診断を伝え ていたにもかかわらず、詳しい検査や術中・後の検査を怠る、トホホな医師が いるのは昔も今も変わりないようです。 昔から「軽症」な患者が、病気を軽く考え、事故や手術等で大事になる、とい うことはよく耳にいたします。 21世紀にもなってこのような事例が起こるとは、残念なことですが、他山の石 として、我々も気を付けたいですね。
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